「体幹トレーニングは大事!」多くの野球指導者はなんとなくそのように感じて体幹トレーニングを実践している方が多いと思います。しかし、なぜ大事なのかご存知でしょうか?身体の軸を作るため、安定するため、などなど。間違えではありませんが、より理解を深める事でなぜ必要なのかを理解し、目的に合わせた体幹トレーニングを選択できるようになり効果が大きく変わります。今回は、野球指導者が知るべき体幹トレーニングの重要性についてお伝えしていきます。
そもそも体幹ってどこ?
広い意味での体幹
頭や腕、脚を除く胴体の部分。
狭い意味での体幹
横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群の4つから構成されていて、これらは箱状にできている部分。インナーマッスルとも言われます。
以上のように分けることが可能です。一般的に言われる体幹トレーニングというのはこの狭い意味での体幹を鍛えてあげるためのトレーニングを指します。まずはこの体幹の定義を野球部の選手たちと共通認識を持ちましょう。では”なぜ体幹の筋肉を鍛えることが野球において重要なのか”を次にお伝えしますね。
体幹のはたらき
体幹の働き
- 動きの起点
- 動きの支点
- 伝達
これらについて詳しく説明していきます。
動きの起点
体幹がはたらくことで動きがはじまります。赤ちゃんの時、まだ筋力がない状態で寝返りをする時は、体幹が動きの起点となり動いています。また筋力がついた後でも動きだすときにはまず体幹の筋肉に実は力が入っています。体幹の筋肉に力が入ることでバランスが崩れないように人間の体はできているのです。
動きの支点
動いている際に体幹がちゃんとはたらかなければ姿勢は崩れてしまいます。野球は動きの多いスポーツですから姿勢が崩れてしまうことで切り返しが遅れるなど、パフォーマンスに悪影響を及ぼしてしまいます。激しい動きの中でも体幹が安定することによって一瞬の動きが速くなるのです。
伝達
野球では下半身から体幹を通して上半身へと力が伝わって、ボールやバットへと力を伝わります。体幹が働かなければ、下半身で生み出したエネルギーを効率よく上半身に伝えることができません。上半身と下半身の動きもバラバラになってしまいます。
関節と動きからみる体幹
人の身体は筋肉だけなくは骨やそれらをつなぐ関節があります。骨にくっついた筋肉が収縮することで関節が動くのです。この単純な動きがいくつも合わさることで野球のバッティングやピッチングなどの複雑な動きを生み出しています。
関節の役割
関節には主な役割が、「可動性」と「安定性」2つに分けられます。つまり、しっかり動いて欲しい関節と、あまり動かずに止まっていて欲しい関節があるという事です。そして、この安定性の関節と可動性の関節は、人の身体では交互に成り立っています。
その中で、狭い意味での体幹に当たる腰の部分は、安定性の関節となっています。もしここが安定していないと過剰に動いてしまい、腰が痛くなってしまったり、本来は動いて欲しい、上下にある股関節や胸周りが動きにくなってしまいます。関節を適切に動かすためにも体幹周りの安定は重要なのです。
関節は単純な曲げ伸ばし以外にも捻るような動きもあります。皆さんのイメージにもあると思いますが野球はかなりひねる動きが多いスポーツです。
この様に複雑な動き中でも体幹がはたらく事が大切であると考えると、体幹のトレーニングを行う際も、動きを取り入れてながら行うことが必要となります。つまり、キープするトレーニングも必要ですが、それだけでは野球のパフォーマンスや怪我の予防には不十分という事です。
とは言っても、安定させることができないにも関わらず、いきなり動きばかりを取り入れてしまうとトレーニングでケガのリスクも出てきてしまいます。動きのない状態で安定させることができた上で動きの中でも体幹がきちんとはたらくように適切な段階を経てトレーニングを進めていく必要があります。